この記事は「すぐ人のせいにする」「会社のせいにする」「環境のせいにする」という他責の意識が強い部下に悩む上司むけ。
■ 他責思考の部下はどんな心理なの?
■ 他責思考の部下を厳しく叱咤していると、新型うつ病になる可能性も?
これらの点について書いていきます。
これは正論ですが・・・
他責思考は公言しないでコッソリ心の中でやる分には、自分の心を守る意味で決して悪いものとは限りません。
■ この記事での「他責思考」とは、極端に他責の念に偏った思考の人をさします。
■ 他責思考は本能のように誰もが持ち、他責そのものが悪いとも言い切れません。
■ 自責思考に偏りすぎると、自分を責める事でウツになったり自信喪失に陥ります。逆に、適度に他責思考になれる人は、楽観的に自分のメンタルを守ることができます。
部下の他責思考は改善できるのか?
一番気になるポイントは、「部下の他責思考は直せるのか?」ですよね。
結論から言ってしまうと、他人からの指摘で他責思考の部下が、自責思考になることは、ほぼありません。
「他人の事は変えられない」というのが、結論です。
それじゃ、話はここで終わってしまいます。
このページにたどり着いたあなたは、「人のせい」「会社のせい」「商品のせい」「環境のせい」と何にでも他責の念が強い部下に、手をこまねいているのではないでしょうか。
そして、こう思っていませんか。
■ 自分の非を認めないなら、また同じことを繰り返すはず
■ 他のせいにしている以上、成長は止まる
■ 現実を受け止めず、逃げているだけだ
■ 自分さえ良ければいいのか?自己中な奴だ
これらの大半が自分の思いと一致していたら、きっとあなたは自責の念が強く、問題に正面から向き合い、自分で解決、切り開いて来た方だと思います。
だから、人のせいにしている部下が歯がゆく、許せない気持ちになるんです。
きっとそんな無責任な部下との関係も、上手くいっていないのではないでしょうか。
しかし、そんな無責任な部下でも、あなたから離れ、別の上司の下に配属されると、その上司との関係も良好で、仕事面で力を発揮、活躍することが多々あります。
そんな時、以前の部下を知ってるあなたは、こう思うかもしれません。
こう思うのは仕方ないですが、実はただの相性の問題です。
別の上司は「目が節穴」や、「人を見る目が無い」わけでもありません。
下の例を見てください。
自責と他責の念は誰もが持っています。
それにしても、上司と部下とでこんなに他責と自責の思考バランスが違っていたら、決して価値観が同じようにはなりません。
では部下が異動したとして、次の上司が下のグラフの3段目のバランスだったらどうでしょう。
移動先の上司の「他責・自責バランス」が、上のグラフの3段目のように、かろうじで自責の念が勝るものの、ほぼ同じくらいのバランスだったとします。
きっと「上司」が気になっていた、部下の「他責思考」の半分くらいは「移動先上司」にとって、気にも止まらないくらいの「許せる範囲」になっているはずです。
実は、部下の他責思考が改善するか否かは、上司の「許せる範囲」の広さに関わってきます。
「人は変えられない」とは、心理学に携わる大御所たちが口を揃えて断言しています。
「人を動かす」著者のデール・カーネギー
「嫌われる勇気」著者のアルフレッド・アドラー
これら、その道の第一人者のプロが「変えられるのは他人でなく、自分である」と言っています。
つまり「他人を変える」のではなく、「自分を変える」事で、「他人が自ら気付き、変わる」のを助長するわけです。
そこで、カギになるのが「許せる範囲」です。
許せる範囲を、今より少しだけ広げる勇気と忍耐が必要です。
そうではなく、「相手の視点に立ってみる」ということです。
1から10まで他責思考をダメ出しするんじゃなく、最低限これとそれに関しては他責では困るけど、それ以外は多少目をつむる、という感じです。
つまり「その部下への接し方を変える」という事です。
言い訳が多く、他責思考をする部下は、極端に高いセルフイメージを持っている可能性があります。
「できる自分」という高いセルフイメージを持っている部下の場合、外から指摘される「出来ない自分」を容易に受け入れることができません。
このギャップを心理学では「認知的不協和」と言います。
「認知的不協和」とは2つの違う(矛盾する)事実を抱えると違和感を感じ、どちらか1つの事実を拡大解釈して、そちらの方を受け入れてしまう人間の脳の働きです。
上司の意見を頭で理解しても、その指摘に不快感を覚えると、その事実を歪曲して解釈します。
その結果、自分以外のせいにします。
「高い買い物をした後、後悔の念があると、「買った」」のに「売りつけられた」と解釈を変えるのと同じです」
対策は部下のミスに対し、まずは言い分をしっかり最後まで聞いてあげることが大事です。それが受け入れがたい言い訳だとしてもです。
話をさえぎったり、口を挟んだりすれば、部下は認知的不協和を抱えたまま、こちらの話を素直に受け入れなくなります。
最後まで話を聞いたあと、話の一部だけでも受け入れて「○○さんの話は(気持ちは)わかったよ」と返したあと、質問をしていきましょう。
この時、怒りや苛立ちの感情を持たずにすることが大切です。
質問によって、部下の至らなかった点を、自ら気づかせるように仕向けます。
部下が頭で理解したとな、と感じたら感情に寄り添いましょう。
「慌てたろ?」
「冷や汗が出たんじゃないか?」
「悔しい思いをしたな」
過去の自分の例なども挙げ、「失敗は誰でもする」と、部下が思ってる「失敗」そのもののネガティブなイメージを軽くします。
失敗を認めて、繰り返さない努力をするかしないかが大事と諭します。
そして、予防線となる約束を交わし、文字に残すと良いです。
仕事のシーンでは、できるだけ早い改善も求められます。
そこで、手っ取り早い改善策が以下になります。
他責思考が強い部下の手っ取り早い改善策
他責思考の部下を、手っ取り早く改善していくには、ある程度の強制力が必要です。
▪️ 自ら目標を定めさせる
▪️ 予測できるミスや失敗を書き出させる
▪️それらの予防策を考えさせ、書き出させる
▪️報告、連絡、相談のルールを定める
▪️どこまでが自分の責任下にあるかを確認させる
▪️結果に対しての、反省や良かった点を考えさせる
これらを交えながら、部下の成長を見守ることが大事になります。
他責思考の心理
他責思考の強い部下の心理は
① 自分の落ち度を解っているけど、公に認められない
② 心から自分に落ち度がないと思い込んでる
の2バターンがあります。
自分の落ち度を解っているけど、公に認められないタイプ
この手のタイプは、極度な負けず嫌いの傾向があります。
この手のタイプは、部下に限らす良い年をした上司にもいないでしょうか?
やんわりとミスや間違いを指摘しても、絶対に自分の非を認めず、逆ギレしたりする人です。
そんな人を引き合いに出し、自分の非を認められないこと、他のせいにすることがみっともないという事を悟らせていくのがベストです。
「カッコ良さ」の概念を塗り替えていきます。
「仕事が出来ること」が格好よく、「ミスや失敗」は格好悪いと思ってる可能性があります。
しかし「弘法も筆の誤り」
誰でもミスはするものです。
しかし、それを認めて改める勇気を持つ人が、本当にカッコ良いのだと気付かせるんです。
心から自分に落ち度がないと思い込んでるタイプ
誰の目から見ても、その部下に落ち度があるのに、本人はまるでその自覚がなく、指摘しても被害妄想に囚われてしまう。
この部下は次の特徴がないでしょうか、
▪️ 他人の善意を、素直に善意として受け取れない
▪️ 被害妄想が強い
▪️ 威圧的だったり、反抗的な態度が目立つ
▪️ ルールや規則を破る
この手のタイプは、パーソナル障害の可能性があります。
自分では罪の意識がなかったり、無意識にやってしまうので、問題行動に本当に気付いていないケースがあります。
これは、それまでの人生経験や家庭環境に原因があったりと、根が深い場合が多いです
このタイプは一人の上司だけで、何とかしようにもムリがあります。
さらに上の上司に相談し、クライアントや会社に被害が最小限に留まるような部署に配置換えするなど、チームで対策を考えることです。
他責思考の部下が陥りやすい新型うつ病とは
上司としては、他責思考の部下はなんともやるせなく、感情的になってしまうことは多いでしょう。
しかし、あまりに追い詰めてしまうと、このタイプの部下が罹りやすい新型のうつ病があります。
従来のうつ病では、罹りやすいタイプは以下のタイプの人でした。
▪️ 自責の念が強い
▪️ 真面目で努力家
▪️ 断ることが苦手で、キャパ以上の仕事を引き受けてしまう
▪️ 辛くてもポジティブに振る舞う
▪️ 完璧主義
ところが、最近急増している新型のうつ病は、まるで逆のタイプが罹りやすいと言われています。
つまり、他責思考型の人が罹りやすいうつ病です。
この新型うつ病は、逃避の気持ちから現れる症状と考えられています。
仕事から逃げたい、上司やクライアント、同僚から逃げたいと言った具合なので、出勤前から勤務時間終了までの間、ずっと心身が不調になります。
発熱、頭痛、腰痛、腹痛、うつ状態と様々な症状があります。
しかし、もともと職場からの逃避思考からくるので、仕事が終わると症状が無くなり元気になります。
それまでの不調がウソのようになり、お酒を呑みに行ったりしてしまうので、仮病を疑われたりします。
しかし心療内科では、これもうつ病の診断がくだるんです。
そうなれば、上司のパワハラ、モラハラなどを理由に、本人や家族から訴訟を起こされることだって考えられます。
他責の念が強い部下は、上司からすれば厄介なものですが、このようなリスクも頭に入れながら指導をする必要があります。
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